2016年度 岡山県動物愛護センター見学

  

 ご報告が大変遅くなり、申し訳ございません。

 73日(日)、岡山県動物愛護センター見学をしました。

 

 一般の方16名、わんぱーくボランティア4名、スタッフ4名の合計24名の参加となりました。昨年、今後の課題として挙げていた‘‘もっと多くの一般の方の参加‘‘が、今年は実現できました。譲渡会でも里親希望で来場される方が増え、犬猫の問題が周知されつつあることを実感しています。

 

 わんぱーく代表あいさつ、センター所長あいさつ、センター概要説明の後、2班に分かれて各棟を見学しました。

 

【管理棟見学】

 負傷動物等の処置室、手術室、検査室などを見学しました。

 

【愛護館見学】

 センターボランティア登録犬の講習が行われていました。

 2年前の見学時に迷い犬として収容されていて、その後わんぱーくから巣立った‘びじんちゃん‘も今年度ボランティア犬として活躍しています。

 

【ふれあい飼育棟見学】

 

 窓越しに仔猫たちの様子を見ました。活発に動き回っています。猫の処分数の90%が生まれたばかりの仔猫であると最初に説明がありました。ここに居る仔猫たちは譲渡対象になった、幸運な仔たちです・・・

 犬は成犬が多く、サイズの大きな犬も多くいる印象でした。昨年の見学時も何頭か成犬がいましたが、今年の説明では、センターの一般譲渡個体のメインは仔犬から成犬にシフトしているようです。数年前には考えられなかった光景です。(当時は成犬の里親希望は少なく譲渡は難しいとされていました。) 

 

 わんぱーくの譲渡会でもありがたいことに最近は成犬を希望される方が多くなり、保護犬への理解が深まっていることを実感します。

【保護棟見学】

 

 

 迷い犬、遺棄された犬猫、負傷猫、有料引取りの犬猫などの収容棟です。

 

トラックの搬入口から入りました。すぐ目の前にマイクロチップの読み取り器が備え付けられていて、マイクロチップ装着の有無が確認されます。マイクロチップの普及率はまだまだ低く(全国犬登録数の16%)、ここで身元判明に至るケースはとても少ない・・・

 

 マイクロチップ挿入をしてくれていれば・・・

 鑑札を装着してくれていれば・・・

 首輪に電話番号を書いていてくれていれば・・・

 いなくなった時に飼い主がすぐに届け出てくれていれば・・・

   どれだけの犬が助かっただろう・・・

 

 正面のまっすぐ奥に続く、迷い犬を収容している個別犬舎を見学しました。10数頭収容されていました。ラブラドール、柴犬、雑種・・・首輪を装着していた犬、人馴れしている犬、怯えている犬、野犬と思われる犬・・・

 

 約1ヶ月間は飼養されるそうです。

(捨てられたの?首輪がはずれたの?迎えに来てはくれないんだね・・)

 


 

 次に有料引取り(持ち込み)の犬舎に移動。背中合わせに全部で8個の個別犬舎が並んでいます。そこには1頭も犬はいませんでした。各犬舎内はきれいに片付けられていて、犬がいた気配は感じられませんでした。

 

 

 そして、岡山市・倉敷市からの(殺処分)委託個体が収容される大きな犬舎2箇所もきれいに片付けられていて全く使われていない感じでした。

 

昨年までとの大きな変化に正直驚きました。

 

 処分機を入り口方向から見た後、反対側に回り、処分機から下へ落とされベルトコンベアーのようなもので焼却炉まで運ばれる、巨大で無機質な空間へ入りました。犬舎から処分機への追い込み、焼却まで一連の作業が自動で出来るようになっています。

 

 しかし、ここも稼動している気配はありませんでした。

 センターの説明でも今現在は収容数の減少(改正動物愛護管理法の施行(H259月)により引き取り拒否ができるようになったことが大きい)、ボランティア譲渡の増加などにより、殺処分はどうしても仕方のない場合のみ行い、その処分方法も従来の処分機での二酸化炭素ガス注入ではなく、前処置として薬物を喫食させ鎮静・催眠状態にした後に二酸化炭素ガスで処分する方法や注射などで殺処分する方法を検討・試行しているということでした。

 猫室には仔猫がケージ別に4頭と2頭、入っていました。日曜日で管理棟での管理ができないため、移しているとのことでした。この仔たちのように自力で食事・排泄ができるまで成長していれば譲渡に回してもらえる・・・

 生まれたばかりの仔猫(仔犬も)は24時間ケアしてくれるボランティアに委ねるしかない・・・が、何らかの理由でボランティアにも依頼がなかった、たくさんの小さな小さな命は「仕方なく」処分される。何回でも言います。 

    猫殺処分の90%が生まれたばかりの仔猫です。

 子犬部屋には放浪していたことを覗わせる小型犬と人馴れしていない様子の幼犬が収容されていました。


 

 保護棟を出て管理棟に帰る途中、二つの建物の間の少し小高くなったところに、ひっそりと畜魂碑が佇んでいるのが見えました。

 

 今の殺処分数の大幅な減少、処分方法の改善に向けての試みはここに人知れず眠っているたくさんの犠牲の上にあります。せめてそのことを忘れないで・・・

 

管理棟に帰り、あらかじめ提出いただいていた質問を中心に質疑応答が行われ、見学は終了しました。

 

2016 センター見学 質問事項  (抜粋)

Q,施設にいる動物の種類の割合について。

A,平成27年度の収容数は、犬375、猫354でほぼ1:1でした。

 

Q,施設に保護されてくる動物はどこから来るのか。

A,岡山市と倉敷市を除く岡山県全体です。

 

Q,一年間で何匹保護されてくるのか。(種類別で) 

A,平成27年度の保護数は、犬322、猫329でした。

 

Q,一年間でかかる全体のお金はいくらか。

A,動物愛護センター全体を運営する経費は約1億円です。

 

Q,譲渡会等で譲渡され殺処分を免れる動物の割合について。

A,収容された動物は、①飼い主への返還、②譲渡、③死亡・処分、のいずれかになり、

 

平成27年度は下記のとおりでした。

 

    

収容数

375

354

①返還

68

1

②譲渡

268

226

①+②             収容数に占める割合(%

336

89.6

227

64.1

 

Q,施設に保護されて何日で殺処分になるのか。また、動物の種類でその期間は変わるのか。

A,センターに保護された犬や猫は少なくとも8日間はホームページ等で飼い主を捜します。飼い主が現れなかった場合、その動物の健康状態や性格等をチェックして一般譲渡に適するか否かを判断し、適するものは譲渡会で譲渡されます。健康であるが性格的に一般の人には飼うことが難しい場合はボランティアを介した譲渡の対象とし、概ね2週間引き受けてくれるボランティアを募ります。性格的に問題はないが老齢や病気等でボランティアを介した譲渡の対象にできない場合は、老齢や病気等を理解したうえで引き受けてくれる人を募ります(その他の譲渡)。

 

以上のような過程を経て、なお受け入れ先が見つからない場合に処分となります。個体によって違いがあり、病気等で死亡する場合を除いて約1ヶ月間は飼養しています。

 

Q,殺処分にかかるお金はいくらか。

A,現在、対象動物にできる限り苦痛を与えない殺処分方法を検討しているところですが、使用する薬物の適正量などがまだ定まっていません。そのため金額の算定もできておりません。

 

Q,動物達の年齢の割合(わかる範囲で)

A,犬は成犬がほとんどで、猫は子猫が大部分です。

 

Q,動物達のトイレ等の水洗系統は整備されているのか。

A,清掃は業務時間内は約2時間おきに行っています。

 

Q,散歩や遊びなどはするのか。

A,散歩可能な保護収容犬の散歩は週に3回行っています。一般譲渡用の犬の散歩は1日2回毎日行っています

 

Q,災害時の対応について、マニュアル作成、他の関係団体との連携、同行避難の際の避難場所の確保、ドックフードやキャットフードや医薬品などの生活備蓄品などは、具体的にどこまで進んでいますか?

A,岡山県では、平成223月に『岡山県災害時動物対応マニュアル(以下「マニュアル」と略します。)』を策定し、災害時または災害時に備え平常時に県が行う具体的行動を示しています。このマニュアルに従い、他の関係団体との連携については、(公社)岡山県獣医師会及び(公財)岡山県動物愛護財団と協定を結び、動物救護活動についての取り決めを行っています。同行避難の際の避難場所の確保については、避難所を設置する各市町村に対して避難所への動物の受け入れを要請しています。ドックフード、キャットフード及び医薬品等の備蓄については、岡山県動物愛護センター(以下「センター」と略します。)に収容された動物用には2ヶ月分の備蓄があります。動物救護本部を設置するほどの大規模な災害の場合には、センター敷地内に被災動物収容施設等を仮設することを考えていますが、具体的には決まっていません。

 

Q, 愛護センターの新しい取り組みの中で、公示期間が過ぎたわんちゃんねこちゃんは、「その他の譲渡」に掲載されチャンスの機会が増え、新しい里親さんと暮らせることができていますが、公示期間が過ぎたわんちゃんねこちゃんのすべてではないので、「公示期間が過ぎたわんちゃんねこちゃん」たちのすべてにチャンスを与えられることは可能でしょうか?金銭的な問題もありますし、噛み付き犬やほえるわんちゃんなどにはしつけ的な問題もありますが、ドックトレーナーさんに業務の一部をボランティア活動として委託してみてはいかがでしょうか?

A, 咬みつき犬や重度の感染症等の犬や猫は譲渡の対象と考えていません。ただし、すべてを理解したうえで引取り、責任を持ってトレーニングし、新たな飼い主をさがしてくださるボランティアがいるのであればお任せします。

 

Q, 飼い犬が迷子になったときに、飼い主がどこに連絡していいのか知らない人も多く迷子犬情報は進展しません。愛護センタから警察署への保護犬・迷子犬のマニュアルは徹底していますか?

A, 警察署が保護した犬又は猫は拾得物として扱われます。警察署によっては何日間か預かり、センターと密に連絡を取って迷子犬・保護犬情報を共有し、警察署保護の段階で飼い主に返還されるケースも多く存在します。センターにおける収容頭数に対する飼い主への返還率は以前は10%以下と低迷していましたが、警察署や市町村等とのこうした連携が功を奏したのか、平成27年度は20%台となり、平成28年度は6月末現在で30%以上となっています。

 どこに連絡していいのか知らない飼い主さんが多いとのことですが、警察署、市町村及びセンターのいずれかに飼い主さんから一度連絡が入れば、他にも連絡するよう返答しているのでセンターの知名度は低いかもしれませんがどこかで引っかかるはずです。飼い主さんの“捜す気”が何よりも大切です。

 地域によっては迷子犬をケーブルテレビで放映してくれています。総社市はフェイスブックにも掲載しています。

 今後、センターの知名度向上に努めていきます。

 

Q,飼い主ひとりひとりが、しっかりとした思いで、愛情を共に分かち合い、身勝手な飼い主さんのモラルや教育を学習させる「しつけ教育事業」は計画されていますか?

A,センターでは、「犬のしつけ方教室」を毎月第1日曜日午前(講習会)と第3日曜日午前又は午後(実技)実施しています。講習会では動物関係法令や健康管理等を学び、実技では基本的なしつけ方について愛犬とともに学びます。さらに、「犬のしつけ方教室」に参加された方を対象に、3月頃「しつけ方フォローアップ教室」も開催しています。これらによって人間社会で楽しく暮らすためのマナーを身につけ、地域で愛される飼い主と愛犬になって貰うことを目標にしています。

 また、平成26年度は、若年層への動物愛護意識の啓発のため、環境省が作成したDVDをその了解を得て複写し、県教育委員会等の協力のもと県内の小中学校(小学校419校、中学校173校)へ配布し、子供達にペットの命をあずかる責任の重や生命尊重等について認識して貰うよう努めました。このDVDをごらんになりたい場合はセンターまでお問い合わせください。

DVD内容 小学生用「ほんとうに飼えるかな?」

      中学生用(一般向け)「ペットを飼う覚悟と責任~ペットの命はあなたにゆだねられています~」

 

参加者の感想

 

①73日の愛護センターの見学に参加させて頂きました。
 猫を飼いたくて、譲渡会に参加する中、愛護センターに興味が湧き、現状を知る為にいつか行ってみたいと      

 思っていた所、参加する事が出来ました。

 

 出会いがあり、現在2匹の猫を飼っています。

 保護施設は想像以上に辛い環境で、もしウチの子達がと思うと恐ろしくなりました。

 1か月〜90日もいる子もいると知って、お世話する職員さんも、情が移ったり、貰われずに処分となった時に

 はとても辛いだろうと感じました。

 

 わんぱーくの方々が、室内飼いの徹底と、もし逃してしまったら必ず探して下さいと言われている気持ちも良

 く分かりました。

 今飼っている子達を最後まで、大事にしようと再認識しました。

 貴重な機会を作って下さって本当に有難うございました。

 

②この度は、貴重なお時間ご用意頂き、ありがとうございました。 

 案内頂いた内容は、友人・知人へ発信しようと思います。

 今日は現場が稼働していない(?)のか、私的にはもっと殺伐とした雰囲気かと思っていたのですが、思ったよ

 りは収容されている動物たちが少なく安心しました。

 

 また、日本では安楽死ではなく、窒息死だと聞いていたのですが、薬などで苦しまない方法が検討されていると

 聞いて安心しました。

 とはいえ、保護された子たちの引き取り手が見つかればそんな心配も不要ですし、さらに言えば、保護されるよ  

 うな動物が出てこないことを祈ります。

 

 今日はありがとうございました。

 

 なんとなくわかっていたのですが、実際に保護棟を見学する時は心が苦しかったです。

 あそこに居た、犬猫の顔が頭から離れません。

 シャッターが上がる音に吠えるワンちゃん。

 「迎えに来てくれたの?」それとも、「ここから助けて!」彼らはどんな思いで吠えてるんだろう…と考えながら

 管理棟に帰っていました。

 それと同時に自分は助けてやる事ができない申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 

 でも悲しい事ばかりではありませんでした。

  H27度の殺処分数は、岡山県全体で数年前より、かなり減っていると少し驚きました。

 

 でもその数でいられるのは、わんぱーくのようなボランティアさんがいてくれてるからだ。と、いう事もよくわ

 かりました。

 本当に、ありがとうございますm(_ _)m

 

 今回、改めていろんな事を考える事ができました。これからも、自分でも出来る事を少し

 でもして行こうと思いました。

 この様な機会を作って下さり感謝しています。

  ありがとうございました。

 

前の見学会が終わった後、色々考えさせられるものがありました。

 やはり殺処分される動物は減って欲しいです。僕にも少しなにかできることがないかな、と思います。こういう  

 保護施設を見て少しでも何かを学ぶことが大切だと思いました。もっといろんな人に施設のことを知って欲しい

 です。重ね重ねありがとうございました。またボランティアに参加させていただくかもしれません、その時はよ

 ろしくお願いします。

 

とても良い経験になりました。

 またこの事を伝え、できる事を考え、行動して行きたいです。

 大変お世話になりました。

 

岡山県下 犬猫殺処分数

 

H26年度)       犬        猫

 

岡山市保健所       16        141

 

倉敷市保健所       32        412

 

岡山県動物」愛護センター 122        128

 

合計           170         681    総合計 851

 

H27年度)       犬        猫

 

岡山市保健所       16         77

 

倉敷市保健所       27        223

 

岡山県動物」愛護センター  58        127

 

合計           101         427    総合計 528

 

過去総合計 

  H22 4,143頭   H23 3,258   H24 3,149頭   H25 1,629

 

最後に

 

 わんぱーくが目指している「犬猫の殺処分ゼロ」、

 

その中間目標の「せめて安楽死を」

 

 私個人の見解になりますが、今回の見学で、大きな、そして遠い目標だった「犬猫の殺処分ゼロ」の実現が見えてきたのではと思いました。

 まだ試行段階ではありますが「安楽死」はすでにその方向で動き出しています。

 

 仕方ない処分の対象は、猫の場合は行政では管理が難しい「生まれたばかりの仔猫」

 

 犬は譲渡が難しい「老犬」「病気の犬」などです。

 

上記から今後の取り組みとして、

 

・避妊・去勢の推進

・終生飼養の啓発

 

がもっともっと必要だと思いました。

 

 また、行政の管理の下にありながら行政の手が届いていない部分の問題にどう取り組むか・・・

  遺棄、虐待、悪質なブリーダー、悪質なペットショップ、引き取り屋 等々

 

 そして今現在の正しい情報・状況をどう発信し伝えていくか・・・

 

 たくさんの宿題をもらった見学となりました。

 


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